韓国ドラマ「快刀ホン・ギルドン」全24話見終わりました。
韓国ドラマ「快刀ホン・ギルドン」全24話見終わりました。間違いなしのおすすめ!何年に1本の名作と思います。これを見ずしてどうするぅ!(見終わったばかりなんで褒めすぎか^^)これは、時代劇なんですよ。前半の展開から、時代劇っぽいラブコメなんて考えてたら大きな間違い。後半のテーマは大きくて深い。ですから、視聴後は楽しかったね~なんて、感想は書きません。序盤は何じゃこりゃ?中盤ボロ泣き、終盤は納得の重さで考えさせられるという感じです。ちなみに、私は時代劇が好きということもプラス材料となっていますよ^^ では、微妙にネタバレを含み、難しく・・脱線している長い感想です。
泣けるシーンは満載。イノク、ギルドン、チャンフィーそれぞれの想いで、泣けます。一番、きついと思ったのはチャンフィー。もう、中盤から、彼の苦しみときたら、どうなんでしょうと言うくらい辛かったと思います。どんなに求めても届かないものがある。それは、人の心・・・権力を握ろうとも、常識や物質的なもので縛ろうとも、人の心は縛れません。縛れると思うのは、そう見えているだけ、心は自由なのです。本当に、最後の最後まで、イノクの心が欲しかったチャンフィーですが、その限界を知り、彼女の心を解放します。それは、同時に自分の心が死ぬことを意味していました。きっと、イノクの心を手に入れることができるなら、彼は、自分の王位さえ投げ出したことでしょう。しかし、それは手に入れられないものだと分かっていた。それなら、イノクを送るしかないわけです。もう、見ていて、キリキリと痛いようなチャンフィーの苦しみは分かりました。
さて、私が感じたテーマは、「権力とは何か」ということと「自分の居場所」ってところです。
この権力とは何か?というのは、後半チャンフィーが王位に就くあたりから特に現れてきました。チャンフィーの王としての名分は、先王の言葉が刻まれたあの剣。しかし、その剣は、もはや意味の無いものだったのです(このストーリーは予想もつかないドンデン返しで、びっくり。うますぎる~)。すると、彼は、人民に支持された王であるというのが王であることの意義となります。しかし、人民に支持されているのはギルドン。しかも、チャンフィーは、従来の貴族制を廃することができませんでした。前の感想で述べたように、ギルドンの目指す世界とチャンフィーの目指す世界は違うのです。ですから、そこに別れが待っているのは必然とも言えます。イノクが言っていました。「こんな馬鹿な私が王妃となって馬鹿な息子を生んでそれが王となるの?それでいいの?」世襲制に対する強烈な皮肉です。
本来、完全に平等な世界というのは作ることができません。人の能力に違いがある以上、そこにどうしても差が生じてくるのです。しかし、こうして、その人間の能力・本質でもって、差が生じているのならともかく、能力の無い人間が、別の手段でもって、上にいるとなると、社会が難しくなります。本人だけではなく、その人物の持つ背景を含めて実力だと思えば良いのでしょうが、その背景(財力とか人脈とか知名度など)を、その本人自らの手で獲得したものでは無いなら、他人から見ればどうしても非難・やっかみの対象となります。生まれ落ちた瞬間から、育っていく環境が違う以上、そこに不平等が生じるのはやむを得ません。要は、与えられた環境でどう生きるかが問題で、与えられた環境に文句を言ってもしかたがないのです。与えられた環境、つまり自分の世界・・・これを、どんなものにするか。変えようとするのか、そのまま暮らそうとするのかは、自分の選択で、自分で決める。そして、自分で行動する。それが、生きていくということなのでしょう。
では、王とは何故できたのでしょう。おそらく、歴史をさかのぼれば、幸せを求める集団の中の優れたリーダーだったと思います。優れているが故に、上に立ったのです。社会が膠着してきますと、このことが忘れられます。「この国をどこに導こうとするのか?」政治家や官僚には、重要な使命があるのです。決して、自分が楽をしたり、金儲けをしたりするためなんて、思わないでくださいね。残念ながら、すべての人を幸せにすること、満足させることはできません。そこに、政治の難しさがあるし、ごまかせる部分があるのです。治める範囲が大きくなればなるほど難しい。家族の幸せを考えるのは、具体的でやさしい。町内・近隣のことを考えるなら、知ってる人どおしでなんとかできる。市内になるともう、どうしていいかわからない。まして、県とか国とか世界なんて話しになると、そりゃ絶対、みんなを満足させられるわけがない。その時のリーダーとしての資質は、自分が作る世界に信念を持っていることでしょう(これが、変な信念の時は、狂信的に戦争に向かったりするんだけどね)。こうして、まれにすばらしいリーダーに恵まれた国は、素晴らしい国となります。しかし、100年もたてば次の時代となり、また、素晴らしかった国(過去形ね)に落ちぶれるのです。過去の歴史を見れば、本当にそれの繰り返し。生きている間に経験する時間は短いですから、そんなことには気づきませんし、気にも留めず、ただ、自分の幸せを求めてあくせくしているというのが自分です。
もうひとつのテーマが「自分の居場所」これは、よくあるテーマなんですけどね。自分が自分らしく生きられる場所が自分の居場所。なぞなぞ問答みたいな表現です^^。イノクは、ギルドンのそばで、ホ・イノクとして笑ってられたら良かったのです。そこが、自分の居場所。気分が楽で、気兼ねなく、何も考えないで話せる場所。そこは幸せな場所です。ところが、彼女はリュ・イノクとして、別の場所に立ちました。ここは彼女にとっては自分の場所ではなかったのです。努力や我慢の必要な場所。そこは不幸せな場所です。人は幸せを求めて生きていますから、当然、自分の場所に戻ろうとします。ですから、チャンフィーがどんなに止めようとも、最後にはイノクはギルドンのもとに戻るのです。そのことが分かっているからこそチャンフィーはつらい。「自分らしく生きたい」と言われれば、愛しているが故に、彼女を止めることはできません。そこに別れや困難や死が待っていようとも、人が選択して幸せになろうとする道を止めることはできませんからね。
え~と、長い脱線をもどしてっと・・・このドラマは配役が見事でした。中でも主役級に難しい役と思ったのは、気が触れた王の役。これは、すごい役でしたね。元は、ギルドン父と共に良い王を目指していたにもかかわらず、狂気にとりつかれる王。この表情・目・・すごかったです。こんな役のオファーが来て、演じることができれば役者冥利に尽きるでしょう。ギルドン父も良い役でした。我が子ギルドンに対する隠された愛を見せながら、非情に徹する官吏としての役。お見事でした。この2人がすごいので、ドラマが安定して見られたのだと思います。もちろん、イノクを演じたユリさんは、素晴らしかったと褒めておきましょう。脚本の力も大きかったと思いますが、純真無垢なおとぼけキャラが、見事に涙を誘います。一生懸命がんばる姿は、視聴者に感動をよびます。映像も、ユリさんの魅力を発揮できるよう美しく撮ってますし、衣装の変化も素晴らしいです。貴族の衣装の時は、清楚ですごくきれいです。王妃の服の時もすごかった^^。ギルドンを演じたカン・ジファンさんは、強弱のつけかたがうまかったです。強弱って?^^。まじめな表情の時と、そのまじめな表情のままでポツンと漏らすおかしい言葉。もちろん、これは、イノクとの間で見られるのですが、それがイノクに心を許していることが感じられて良かったと思います。他の人に見せない自分。それを見せられる人は、その人を愛してるということなんですよ。チャンフィーはねぇ。私としては、化粧っ気が強くて、気色わるいのですが、あまりに切なく可哀想なので、よろしいというしかありません。この役がうまく無いと、ドラマは抜け抜けになってしまいますから、結果的にはOKということです。ギルドン一家の配役も玉半分男もマルニョ(チャ・ヒョンジョンさん)(このキャラの風貌は、私には漫画「ナルト」の中の誰かとかともかぶります)も良かったです。ウネとその父は、それぞれの役をきっちりこなしてました。ウネ父(アン・ソクファンさん)は、もはや、黙っていてもおかしいという域に達しています。
終わり方は覚悟してましたから、あれで十分です。後は想像でどうぞ~ということです。こっそり脱出して、ドラマ最初の場面へでも良かったのですが、それじゃ、都合良すぎて、終盤の重いテーマが薄れると判断したのでしょう。でも、ギルドンとイノクの結婚式のシーンは、やっぱり見たかったぜい(笑い)
画像的には名場面いっぱいで何度も見たいところがありますが、最もきれいだと思ったユリさんを貼っておきましょう。 (名シーンを切り出してたら、ユリちゃん画像で10枚以上になっちゃってやめたのさ^^)名場面は、やはり12話最終のギルドンとイノクの再会シーンでしょう。2番目は、20話最後の方のお嬢様服を着たイノクを後ろからぎゅ~のシーンです。3番目は怒りに燃えるイノクの剣がギルドンを貫くところのユリさんの表情の変わり方。ギルドンが仲間を助けようとして父に捕まったのを見つめるイノクもよかった。最終話、ギルドンの手に薬をつけながら、やっぱり私がいないといけないと言う2人の会話のところなど、いくらでも上げることができます。キスシーンはすべて、素晴らしいと思います。音楽は、もうテヨン「もしも」がかかるたびに、泣けるという感じの名曲です。
- 「我慢できなくなったら、あなたの元にいってもいい?」・・・「駄目だ」・・・・「来たらもう離さない」・・・きぃ~~~~むちゃかっこいい台詞でした。
- 「お前は余りに馬鹿だから王妃にはできない。だから見送ろう。幸運で純粋なままそれを守れ」・・・ひや~~チャンフィーやるなぁ^^
- 「人は自分の世界を守るためになら、残酷になることができる・・・」うむ、名言だぁ。
- 「I love youってどういう意味か知ってる?」「もちろん・・・・愛してる」 きえぇ~~~知ってたのかぁ
みなさん、機会があったら、是非見てください。とっても良いドラマを見せていただきありがとうございました。
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