韓国ドラマ「善徳女王」全62話見終わりました。
韓国ドラマ「善徳女王」全62話見終わりました。さて、はじめに結論を書いておきましょう。歴史ものが好きな人には、非常におすすめ。格言好き、人生について語りたい人も、とってもおすすめ。恋愛要素は高くないので、ドキドキ感はありません。男性でも十分視ることができるでしょう。旦那さんと2人で見て下さいね。
さて、序盤、巧妙に構成されたストーリーですが、どうなるかは、明確に予想がつきます。つまり、王の血統で禁忌とされた双子の娘が生まれて、姉は皇女で、妹は捨てられる。捨てられた妹が、何と、女王になるという物語だなと思うわけです。(どっかで見た少女漫画の話に近いものがありますね)でも、そこに至る過程はどうなんだろうというところが、大いに興味あるところで、ハラハラしながら見ていくことになり、いつしか、時間がありさえすれば、ドラマを見ているという状態になりました。しかも、このドラマは「ソドンヨ」時代の新羅ですので、興味いっぱい・・そういやチョンミョン皇女って、「ソドンヨ」で、でてきた気がする。
ストーリー的には、①ドラマの構成を決める序盤の出生の秘密、②主人公トンマン(イ・ヨウォンさん)が男装しての郎徒(ナンド・・・花郎(エリート戦士)の部下達)時代の物語、③トンマンの王をめざす物語、④王となったトンマンの物語・・・とだいたい4つに分けられます。
①のドラマの構成を決める部分は非常に良くできていて、いつのまにか自分が新羅にいるような気がしてきます。国仙ムンノ(チョン・ホビンさん)が無茶格好いいです。
②の郎徒時代は、女性であるトンマンが男装してがんばりながら、出生の秘密を探るという感じで、それなりにおもしろいです。百済からの戦場脱出シーンは手に汗握るものがあります。ここでは、花郎アルチョン(イ・スンヒョさん)が格好いいです。トンマンの生涯の味方キム・ユジン(オム・テウンさん)は・・・はっきり言って、かっこわるいです。つまり、彼は石を1万回無心に木刀で殴るという性格です(わかるかなぁ^^これこそが最初から最後まで彼のぶれない性格。キム・ユジンに政治的策略なし。真心真心・・・南無・・・)
③の王を目指す物語・・・ここからはすごいです。政敵ミシル(コ・ヒョンジョンさん)との戦い。画面に釘付け状態となります。トンマンはミシルを真似しながら成長していきます。ミシルは何よりも人材を求めていました。ですから、自分の政敵でありながらも、自分の発した言葉に利発に成長していくトンマンを自分のものにしたかったのです。ミシルは精神的に優位に立っていましたが、ある時から、トンマンはミシルの予想を超える成長をみせ、王としての血統を武器に大きくミシルの前に立ちはだかったのです。女王をめざすトンマンとムンノの会話、トンマンとミシルの会話は非常に含蓄がありますので、格言好きにはたまらないものがあります^^。王として、夢を語るトンマンを画面で見ながら、「うん、その場にいたら跪いて共に歩みたい・・」という気持ちにさせられました。
さて、ここでの重要ポイントはミシルは女であり、王の血統ではなかったということです。実質的にミシルは新羅を支配していましたが、名目上は違うわけです。このことがミシルの器を小さくしていたわけです。でも、トンマンに出会って気がつきました。もっと、大きな夢を持てることを・・こうして、女であり、王の血統でもないミシルは王になろうとするわけです。革命・・建国ですよね。このミシルの政変は、まさに、彼女の全てを賭けたものでした。すごい策略と捏造による政変・・・歴史とは後世に伝える時に自由に脚色できるというのを実感しながら見てました。
おりしも、ちょうど、尖閣諸島問題まっさかり。中国の人はあの島は自分の領土だと言い、日本はもともと自分の領土という。どちらも、マスコミ、政府が流した情報で、国民は納得しているわけです。本当って何だろう?伝える側に、ある種の主観が入るのはしかたありません。また、人為的に誘導する場合もあるでしょう。検察の捏造問題ってのもありましたね。嘘でも、終わってしまってみんながそう思えば、それが真実に変わる。歴史って・・隠された部分がいっぱいあるのでしょうね。さて、脱線をもどして・・・・・こうして、ミシルが画面上から姿を消した時、このドラマは本当は終わったのかもしれません。それほど、ミシルの存在は大きかった。彼女の周りに人が集まっていたのですが、それだけの魅力ある人物だったのです。通常、悪役として見られるミシルですが、その存在感からまさに主役。彼女なくして、この物語を語ることはできません。コ・ヒョンジョンさんのすばらしい演技は是非とも見て下さいね。
④の王となったトンマンの時代は、その前の部分から比べると、かなりたるんだ感じがします。物語は出世するまでがおもしろくて、地位を維持することは容易でなく、おもしろいものでは無いのです。先頭を走る者のつらさ、リーダーの苦悩・・・実は、この部分も大きなテーマだったのかもしれません。これは、リーダーにならないとわからないのです。上を目指すことは具体的な目標があるがゆえにまっしぐらに進めますが、上になった時にそれを維持することは何倍も難しいのです。
その時に必要な資質は・・・ドラマでは・・・人を信じないこと、人を信じていてもその勢力が信じさせない状態にさせるわけです。つらいね。トンマンは太陽のように輝きながら、人を信じ、包み込みながら進んできたのです。トンマンの表情から笑顔が消えました。
さて、ここで、重要な役をしたのがピダム(キム・ナムギルさん)です。ピダムは、ミシルの息子ですが捨てられ、国仙ムンノに育てられ、トンマンに出会い、仕えることになります。ザンバラ髪で剣を持っている時は、無茶苦茶格好いいですよ~~彼がトンマン恋しくてニコッって笑う所で、何人かが、確実にピダム堕ちすることになるでしょう^^。ピダムが、上大等(官職ね)になって、織田信長風(?)になった時は、いまいちですけどね。
ここでのテーマは信じること。人と人とが信じ合うことはできるのでしょうか?口で言うのは簡単ですが、疑念はそっと忍び寄るのです。信じることは馬鹿にならないとダメです。石に向かってひたすら剣を振るうユジンのように、馬鹿になること。それこそが疑念を排除する方法なのです。疑念を抱くのは、自分自身。その自分に負けるから疑うのです。信じると決めたら、プライドや情勢は関係なく、信じる自分こそを信じる必要があります(お~と難しい^^)
さて、ドラマを見終わって、心に残る言葉というと・・・
- 人の心を得た者が、王となれる。
変わりやすい人の心を得ることは、難しいです。そしてその人を捨てることはもっと難しいらしいです。恐怖(法律?)や利益で支配することが通常行われます。 - 上に立つ者は、希望を与えるから、上にたつ意味がある。
確かに、部下の前で自分の状態に対して愚痴をこぼしていたら、誰もついてきませんよね。 - 絶対無理と思える状況でもやってみる。
無謀ともいうのですが、成功した人が語れる言葉です。失敗した人は、この言葉を語れません^^ しかし、絶望的な状況の時に必要なものは、気力、体力、時の運・・・(笑)やらなけりゃ、成功の確率はゼロですが、やれば確率があるということです。宝くじを買うことに似ています(おいおい^^) - 世の中には支配する側と支配される側があって、私達は支配する側で同じ仲間だ。
ミシルが政敵であるトンマンに言った言葉。政治の世界にもルールがあって、支配される側をなくしちゃダメというわけです。うん、今の政治家さんも同じようなこと考えているのでしょうか。国民の目線にたった政治・・って言うとどうも嘘くさい。嘘くさいけどわずかでも、そうなって欲しいので、言わないより言う人を選ぶって感じでしょうかね? - 王になった瞬間、誰も信じられなくなる。
王となったトンマンの強烈な言葉です。人を信じることができない。心を許す相手がいない。自分の名を呼んでくれる人がいない(みんな陛下って呼ぶんです)。王という立場は、まじめに考えたら何て苦しいものでしょう。そして、自分に仕える人たちから、世間の人たちまで、みんなそれぞれの価値観から幸せ(利益・・)を求めていく。これを、まとめて、大部分の人たちをある方向へ向けるなんて立場は、恐ろしいものがあります。本気でやればやってられないし、能力を超えるので、どっかに丸投げ分担したい・・・・と思うのが普通でしょう^^。分担すると、意見が割れて、決まらないし、無能って言われる^^。まあ、責任ある王というものが楽しいものでは無いということがわかりましたね。一国の総理大臣ってのもつらいみたいにみえますが・・・^^
さて、欠点を上げますと、恋愛方面でトンマンの気持ちがよくわかりません。トンマンは、ユジンを好きだったはずなんですが、いつの間にやら、ピダムかい?政治的に利用する気持ちと恋とが混ざってわからなくなったのかもしれませんが、(本人がそう言っているので・・・・)見ている方は、まったくもってわかりません。したがって、そこに切なさが生じませんよ。もう少し、気持ちの移り変わりを描いてくれたら、後半のピダムシーンが盛り上がったことでしょう。
もう一つは、トンマンの成長がすごすぎることです。もともと本が好きで賢かったわけですが、郎徒時代から王を目指すと決めた時の成長がすごくて、現実離れしています。ドラマ中で、「この言葉は私が言ったのだろうか」と自分で思うくらいですから、天が付いていたのでしょう^^。
ちなみに、病気ネタはあまりに急ですわ。なんの病気か教えてくれないとちょっと欲求不満。お父さんと同じく心臓の病気でしょうかね?ストーリーの流れとは別に、最後のあたりで、ピダムを担ごうと貴族たちの行動にムカムカ。ピダムが剣を一閃して、どうでもいいから、さっさと皆殺しにせんかい!と何度思ったことでしょう。
ま、何と言ってもミシルに尽きます。彼女の心の動きをあらわすコ・ヒョンジョンさんの表情、口元、眉の動きは是非見る価値があります。視てきた時間が無駄と思わないすばらしいドラマでした。
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