韓国ドラマ「ありがとうございます」16話見終わりました。
韓国ドラマ「ありがとうございます」16話(最終話)見終わりました。うまいこと終わらせましたね。前回の感想のところで、どう終わらせても急いだねって言うだろうと書きました。この残された1話で、ソッキョンとギソとヨンシンの関係をきれいにさばくのは、難しいだろうと予想したわけです。後で述べますが、意外とうまく展開させたと思います。もう、コテコテのお涙ちょうだいシーンあり、チャン・ヒョクさん・・かっこいいシーンあり、ソッキョンお前もなかなかやるなぁシーンあり、これまでのストーリーを締めるにふさわしい最終回と思います。
このドラマを見て思うことは、役者が演技をする時に、発する言葉以外でも、相当の感情を視聴者に伝えられるんだなぁということです。ヨンシン祖父のミスターリーとか、ギソ、ヨンシン、ソッキョンとも、与えられた台詞以外に、言いたいことがいっぱいあって、それが、演技の中から聞こえてくるようでした。
いろんなことに、感謝する気持ちを持てば、人として豊かな人生が送れること、そして、自分の人生は、自分のものであり、決して他人に引け目を感じることなく「ちょっと違うだけさ」と前向きに生きていくことが素晴らしいと教えてくれるドラマです。私としては、やはり、はまったという感じではありません。しかし、とっても良い!心の中にそっと置いておきたいと思える良いドラマだと思います。チャン・ヒョクさんのかっこよさと演技だけで、見ることもできますし、やかましくないコン・ヒョジンさんのうまさで見ることもできますし、ボミを演じたソ・シネちゃんの年齢不相応な演技力で見ることもできます。しかし、このドラマは、その根底に流れるテーマ「ありがとうございます」・・・これを、感じ、そして共感し、味わいながら俳優の演技にひたる・・・これが最も楽しい見方のような気がします。エイズの娘、認知症の祖父、シングルマザーで代表した、いわゆる弱者にとって、自分の心の持ちようで人生は変わるんだよと教えてくれる・・・従来の韓国ドラマにないテイストで描かれた良いドラマとして、高評価を与えます。ドタバタの恋愛ドラマに飽きた人に、強く勧めることができますね(笑)。逆に、第1話は、従来の韓国ドラマと同じく強烈で、早い展開で良かったけど、以後は、ちょっとペースが合わないっていう人もいるかもしれません^^。(好みの問題だね)
では、16話のシーンを追ってみましょう。以下ねたばれ。
16話冒頭、チョコパイを配るヨンシン祖父の姿が描かれます。もはや、あの世へ向かうにあたり、自分のいた世界、関係した人々への感謝の気持ちをチョコパイ配りで表現します。ひとたび、生を受け、何十年もお世話になったこの世に送る感謝の気持ち・・・この境地にいたることはなかなかできません。通常、どこかでもっと違った人生があったのではないかという悔いや、もっと生きたいという願望を持ちそうな気がします。この人としての業を、認知症という病気で覆い隠すことにより、純粋な感謝の気持ちだけに昇華させたのです。人は死に臨んで何かをすることはできません。それならば、これまでの世界・人生・人に感謝を捧げようというわけですね。このドラマにおけるヨンシン祖父は、その演技力と存在感で、とても重大なキャラクターでした。
さて、ギソとヨンシンの関係に目を移しましょう。ヨンシン祖父が逝ってしまった後、ヨンシンは食欲を無くします。ヨンシンのことが心配で自分も食事が進まないギソは、ヨンシンのために食べものを買ってきます。ところが、ヨンシンは罪悪感や同情心のためにギソが優しいと思っていますので、ギソのその気持ちはヨンシンに通じません。「犬がごはんを食べないのが気になるくせに、俺が食事してないのは気にならないのか?・・・俺の方を見ろ!」というギソの想いが強烈ですが、ヨンシンの殻は、まだ、やぶれません。
さて、この後、かなり悲しいシーンが出てきます。自分がエイズであると心に傷を負ったボミは学校に行きたくないんです。やっとのことで、エイズはたいした問題ではないと心に言い聞かせ、学校に向かいます。ボミは窓から教室の様子を窺いますが、そこは、いつもと変わりなく時間が流れています。自分の席は空いているのに何も変わっていない。自分の居場所をボミは見つけることができなかったのです。忘れられた存在・・・子供の心にとって、これはきついです。自分が存在していることは、他人から認識されることで、最も良くわかります。他人の応答を見て、自分が確認できるのです。職場でも、自分の名前を覚えてもらえないなんて場面にでくわすとけっこうショックですよね^^。でも、この他人からの認識を、あまり意識しすぎると自分の評判で一喜一憂なんてことになりますから、本来は自分の存在感は自分で決めるぐらいの気合いが必要だと思います。
この学校に行けないボミを見て、ついにヨンシンはギソに黙って島を出ることを決意します。こっからが、すごいですよ。ヨンシンを追いかけて、つかまえたギソは、ついに、「自分の想いに気づいて欲しい。俺は何度もお前のために、ここへ戻ってきたと言っている」とはっきりヨンシンにぶつかります。このあたりの愛情の告白を行うギソのシーンは良いですね。これを受けるヨンシン・・・何も言いません。ヨンシンの心に打ち込まれるギソの想いの結果は、ヨンシンの涙で表現されます。このギソの気持ちは確かに伝わったと思います。しかし、ヨンシンの口から出てきた言葉は、ボミを学校に行かせたいから島を出るということでした。なかなか、しぶといぞ~この女。ここまで言って落ちないとは・・・とギソが思ったかどうかは定かではありませんが、去っていこうと車に乗り込むヨンシンを黙って見つめるギソです。
ここからは、ちょっと恥ずかしいくらいのベタの展開でした。ヨンシンが島を出て行くのを見かけて、止める島の人達・・・ちょっとベタすぎて引いてしまいましたが、それでも私の頬を流れる涙・・・しかたないなぁ^^。結局、島の人達の理解の元、ヨンシンはボミとともに、島に残ることになります。島の人々がヨンシンの家財道具を元の家に運び込んでいる間、これでいいのかとヨンシンは考えています。そして、ヨンシンは、その目の端にソッキョンの姿を捕らえます。その表情があまりに良いので、こりゃ~大逆転で、ヨンシンはソッキョンへ向かうのかと思ったほどです。もう、何度、こういうコン・ヒョジンさんの顔のアップで感動したことでしょう。この何の会話もないソッキョンとヨンシン・・・私にはとっても良いシーンでしたが、変でしょうかねぇ(笑)。
そして、ソッキョン母は、ボミにソッキョンが父であると教えます。ここのボミの演技はすごいです。心して見ましょうね。結局、この事実を教えられて、ショックを受けたボミのところにソッキョンが帰ってきて、この事実を否定します。こうきたかぁという感じです。父と告白したかったソッキョンが、敢えて「おじさん」なんだよと言うこの気持ち・・・この瞬間、ソッキョンはヨンシンをあきらめたと思いました。我が娘のために、何もできなかった父は、その母と娘のために、どの道がもっとも幸せかを考えたのです。そのためには、自分が父であると名乗りでないほうが良いと判断したのです。
そして、その後のシーンで、ついにソッキョンは、ヨンシンに一番言いたかった言葉を伝えます。「お前よりもずっと深く、俺はお前を愛していた!」 いやぁ、この言葉やっと言ってくれましたか?もはや、ヨンシンを手放そうとしているからこそ言える言葉だったのですね。2人の関係は、もう恋愛には発展しないけど、お互いに大きな感謝の気持ちが溢れています。このシーンも良かったです。
こうして、ヨンシンは、ギソのところに戻ってきます。ヨンシンは「自分は、負い目を感じなくていいんだよね?ちょっと違うだけなんだよね。そう教えてくれたよね」とギソに問います。涙の中に笑みを入れて、もう負い目を感じないで、あなたに向かうわというかのようなヨンシンの表情・・・すごいよねぇ。ここにいたっても、脚本は、ヨンシンに決して「ギソ、愛してる」と言わせません。言わせないがために、想像させられます。このギソとヨンシンのシーンに、このドラマのすべてがつまっていると感じました。
そして、時間は流れ・・・幸せな表情のヨンシンとボミ・・・ここに流れるのは、ボミのあの美しい世の中の歌。最後に、お父ちゃんだよと言いたげなチャン・ヒョクさんの笑顔が見られます。画面、ぴったりとはまった家族3人の風景・・・。良いドラマです。心が洗われます。
感想の最後の締めの言葉は、絶対この言葉です。
このようなドラマをみせていただいて
・・・・・ありがとうございます・・・・。
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