韓国ドラマ「魔王」全20話見終わりました。
韓国ドラマ「魔王」見終わりました。このドラマは、やはり脚本がすごいと思います。綿密に練られた伏線を繋ぎながら、カン・オス刑事(オム・テウンさん)とオ・スンハ弁護士(チュ・ジフンさん)の生き方を描いていきます。
スンハは、高校生の時に兄をオスに殺害され、その関係で母も失いました。オスは事故とはいえ一人の命を奪ったことを償いながら一生懸命生きています。そこで、始まるスンハの復讐・・・結果として、オスの家族は壊滅してしまいました。
いろいろなことがテーマとして含まれていると感じました。通常、人は過ちをおかす存在で、それを自覚することで、自らの行動を改善していきます。しかし、その過ちが他人の唯一のものを壊してしまった時、それに対して償いはできるのでしょうか?お金で保障しようが、加害者が苦しもうが、被害にあった方は元に戻せと言うだけです。被害者にとって、それなら、自分の気持ちを味合わせてやるという復讐心がでてくるのはしかたがありません。しかし、憎しみは新たな憎しみを生みますので、こうして復讐された方は、新たな復讐を考えることになります。これじゃあ、救いがありませんよね。
このパターンは、2国間の戦争に最も良く現れます。家族を殺された、だから敵国の奴を殺そうという永遠に続く連鎖です。これは、片方を完全に滅ぼしてしまえば、めでたしとなるわけですが、通常は完全に撲滅出来ることはありません。この時に、人は何を持ってこの連鎖を止めるのでしょうか?人間としての良心、対象に対する恐怖、しかたないというあきらめ、経済的・肉体的な問題など、いろいろな理由があるでしょう。でも、どこかで気づくのです。人を憎んで生きることがどんなに馬鹿らしいことかを。その馬鹿らしさを自覚したときに、ある種のあきらめをこめて、人を赦すのだと思います。そして、その・・人を赦すのを手伝うのが時の流れ。時間がたつにつれて、当事者の思考も成熟し、忘却し、とっても赦せないと思ったことも赦せるようになるのでしょう。このドラマのテーマは「赦し」。罪を赦し、人を赦す。そうすることで自分自身が救われる。それは、大げさなものではなく、私たちの日々の暮らしの中にも必要な考えかたです。なかなか重いドラマでした。
こういう脚本に対して、スンハ演じるチュ・ジフンさんは名演技をしたと思います。俳優としては「宮」よりもずっと良い役をもらったと思います。そして、十字架を背負って生きているようなカン・オスを演じたオム・テウンさんも熱演といえるでしょう。脇を固めた一癖も二癖もありそうな個性的な人たちのうまさも忘れてはなりません。シン・ミナさん演じるヘインの存在は、救いの象徴といえると思いますが、サイコメトラーという奇抜な能力を導入することで、うまくサスペンスドラマに仕上げています。
しかし、序盤の展開は何と言ってもわかりにくいです。飽きっぽい視聴者は、数話見たところで、何だこりゃ@@とチャンネルを回すでしょう。ここを乗り越えれば、後は特に難しくありませんし、チュ・ジフンさんの良さにはまることになると思います。恋愛シーンはほとんどありませんが、スンハの気持ちは伝わってきます。ヘインは、赦しの存在ですので、恋愛にのめり込むというようなキャラ設定ではありません。しかしながら、スンハと二人で雨宿りするシーンとか、教会で、スンハの正体を述べるシーンなどは、なかなかの愛情を感じられました。最後の最後に、テーマを、ちょっと恋愛に振って、復讐よりも人生には楽しいことがあると印象づける働きがあったのでしょう。
とっても、大人のドラマです。テーマ的に、なかなかしんどいドラマですが、見る価値は十分にあると思います。こんなドラマを作れるとは、やるなぁ!韓国ドラマって感じの新しいテイストのドラマでした。見てね^^
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